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アスリート・コーチングBOOK

友人から紹介され、読んだ本(高畑好秀氏監修・池田書店刊)の名前です。「14名の(スポーツ界)の指導者にコーチングに対する考え方や実践法を聞き、まとめたものです」(「はじめに」から)の通り、プロ競技、オリンピック競技等で名前を聞いたことのある監督・コーチ(例:サッカーの岡田武史氏、ラグビーの山口良治氏、陸上の高野進氏・・・等)のインタビュー形式の話とそこから学ぶべき観点が整理されています。

感想を一言で言うと、「思っていた以上にビジネスコーチングやライフコーチングと、その観点は変わらない」、そして「馴染みのある選手名もバンバン出てくるコーチング実話は、説得力と面白さが凄い」です。もしかしたら、私が勝手に自分でスポーツコーチングはまだちょっと違う(「鬼」的要素の比率大)とイメージし、それが「違っていた・・・」と、マッチ&ポンプを演じているだけかも知れませんが、例えば私が「そうかあ・・・」、「そうなんだ・・・」と思った記載は以下です。

「「管理し、ガンガン怒って、選手にプレッシャーをかけていく指導者」、「放任というか、自由にやらせる指導者」、「コミュニケーションを図りながら、同じ目標へ選手を向かわせる指導者」 全部やってみましたが、結局三つ目の方法をとったとき、一番バランスの良いチームができたんです」(バスケットボール・鈴木貴美一氏)
「コーチ自身が一流選手であったかという実績が必要なわけではなく、教える技術が優れていれば選手を導くことができるわけです。一流選手から指導者へ転身した人は、自分の体験を教えようとしたがるものです。もちろん。優れた部分もいろいろあるとは思いますが、それはもう時代遅れかもしれません」(水泳・鈴木陽二氏)
「自分の勝手な推測でたぶんコイツはこれで悩んでいるんじゃないかと思っても、それを本人の口から言わせる、という方法をとります。何かについて悩んでいるにしても、「どうしたの」と聞いてあげるんです。聞いてあげると本人が「自分がなんで悩んでいるのかな」ってことを1回整理します。(中略)そうすると本人なりに、「自分は今、こういうことで悩んでいます」と話してきます。そこですぐにアドバイスするのでなくはなくて、その問題に対して、「じゃあ、どうすればいいと思う?」ともう一度聞いてあげます。そうするとまた本人なりに考えて、この問題を克服するために、今自分は何をすれば良いのかがわかってきます」(柔道・古賀稔彦氏)
(その他、多数)

決してビジネスコーチングを啓蒙したり、宣伝したりする本の中で見つけた記載でないだけに、また具体的な実績のある方々の実話だけに、何とも言えぬ新鮮感と勇気、そしてたくさんの気付きを得ました。特に最後の古賀氏のお話は「金メダリストもこういう考えに立っているんだ・・・」と、その「本人から引き出すこと」を重視されるスタンスと実践に思わず唸りました。
コーチングの学習者だけでなく、一般の組織のマネージャーの方、その他の方々にも、ちょっと違った角度からの刺激を・・・と、お薦めできる本として紹介させていただきました。

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